忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2025/05/28 04:47 |
東宝『エリザベート』への極個人的な感想
東宝『エリザベート』9/21(火)18:30の回を見てきました。
極々個人的な感想です。書きたいから書いてしまっただけで他人様が読んで面白いものではないです(じゃあ自分のPCのメモ帳に書けばいいだけの話なんですがそれやるといつも失くすのです……)。
畳んておきますので以下読まないこと推奨です。



しんどかった。
しんどさの主な理由は、案に相違してシロタトートがかけらも好みでなかった(!)ことと、セナシシィが等身大の実に人間らしい普通の人間だったことです。いや死が逃げ場ではない、若しくは逃げ場でしかないと救いがないねこの話。

トートは前評判どおり美形美声でした。が、私好みの美形ではなかった。そして何より、何を考えているかわからない感情の見えにくい感じが好みにひっかからなかった。とにかく大柄なので余計ぼーっとして見えたこともあると思う。
でも二幕に入り話がどんどん深刻さを帯びるにつれて、なんだか怖くなってきた。大きく、美しく、何を考えているかわからない。それこそが死ではないのか、と。フランツ、ゾフィー、ルドルフ、人々が一生懸命企て、足掻き生きる必死さとは対照的な、その茫漠たる存在が怖かった。

シシィは最初は本当に少女、と言うか子供に見えた。見初めたフランツはロリコンかと思うほど。やがて彼女は自我に目覚め戦い始めるのだけれど、その姿は驚くほど現代的で普通の女性だ。二幕頭で「エゴイスト」と評されるのが、今だったらこんな人いっぱいいるよなあ、と可哀想になるほどに。

だから。
死が自分を愛してくれる他者と言う救いではなく、かつ、エリザベートが等身大の自分と同じような存在だと、この話はしんどいですよ(苦笑)。普段意識していない自分の暗部を見るはめになるから。「私だけに」なんて生き方をしても多分自分にも周囲にもろくなことにならないのに、どうしてそれをやめられないんだろうね、という。
「夜のボート」のセナシシィの、醒めた諦観を宿した瞳が忘れられない。

だから、しんどかった、と言うのは、ある意味褒め言葉です。それだけの思いをさせられる作品と言うことだから。
お気楽に「新キャスト楽しみー」と見に行ったら、エリザベートという作品の持つ力にうっかり足をすくわれました。似たような感想は依然ウィーン版キャストのコンサート形式上演を見た時も思ったけれど、今回は日本人の日本語による上演だったので、余計に胸に迫ると言うか身につまされた。また、去年の東宝エリザの時はこんなしんどい思いはせずもっと普通に楽しんで見ていたので、やはり演者の違いなんだろうなと。どこか浮世離れした感のあるスズカゼシシィ、ロバのように頑固という慣用句を思い出した強いアサミシシィ、そしてやんちゃ坊主のようなタケダトート(個人的には東宝トートで一番好き・笑)からは、こんな感想は生まれなかった。
いつも最後のシシィが棺桶に収まる演出に違和感があったけれど、今回の『エリザベート』なら、このラストシーンはわかる。納得した。

『エリザベート』とは何なのだろう、何のために生まれた作品なんだろう。そして、”愛と死の輪舞”と副題のついた、トートとシシィが愛し合うこと前提の宝塚の『エリザベート』とは何なのだろう。とそこまで思いを馳せてしまった今回の観劇でありました。
(そう言えば去年の月組版エリザはトートとシシィがトップコンビでないどころかシシィは娘役でも組子でもないという、「愛し合うこと前提」と言うヅカエリザの枠を取り払おうとしたような舞台でありました。そのときにトートを演じていた人が今このシシィを演じているというのも興味深く感じます)



*役者さんのお名前のカタカナ表記は検索除けとも言えない検索除けのつもりです。すみません。だって普通の観劇感想じゃないし……。

拍手[4回]

PR

2010/09/21 22:59 | Comments(1) | TrackBack() | その他舞台

トラックバック

トラックバックURL:

コメント

いやいや面白かったです!
私はエリザ素人を自負しているので大したコメントはできませんが、
エリザベートという作品がこんなにキャストを変えて再演され続ける魅力的な作品である事と、それを分かって居ながら、私的に実はあまり深入りしたくない(笑)作品なのはこの辺りに理由がありそうです。
posted by aiai at 2010/11/10 13:00 [ コメントを修正する ]

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<あけましておめでとうございます。 | HOME | 雪組『ロジェ/ロックオン』その1>>
忍者ブログ[PR]