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2025/05/30 12:39 |
星組『リラの壁の囚人たち』その4
ジャンの話をします。

既に初見時にぐだぐだ語っているのですが、その後考えが変わったこととか、改めて。
相変わらずの勝手な深読みトークなので畳みます。





***


今まで書いていませんでしたが、実は2回目、一週間後の5/16に見た時点で解釈と言うか考えが変わっていた点がありました。

確か初見時は「ポーラへの片恋が高じて歪んでしまった」と書いたのですが、それはちょっと違う。
多分、ジャンは元々ああいう口説き方しか知らないような奴だわ(苦笑)。
ちょっとつきあえよ、お前だって悪い気はしないだろ、みたいな誘い方で、それでついてくるような相手とそれなりの付き合いしかしたことなかったんだろうなあ。で、見てくれがいいもんで、それでも今までそれなりについてくる娘はいたと。
だから、ポーラに対しても同じようにしかできなくて、それが通じなくて苛立って。
……馬鹿だなあと苦笑するとともに、しみじみと哀しくなる。

それは、ただ単に私が初見時に見えていなかったのかもしれない。でも、芝居が変わったということもあるんじゃないかと思う。

わかりやすくなっていった、と思う。バウ初日翌日に最初に見たときと、一週間後のバウ、約10日後の青年館初日翌日、と見る度に、ジャンがどんな人間で、何を考えて何をした(しでかしてしまった)のか。
いやぶっちゃけ考えが浅くて根性の悪いチャラ男っぷりが板に付いてきたってことでもあるんですが(笑)。ポーラがエドにときめいている顔を見た時に、付け入る隙を見つけて口笛でも吹きそうな表情とか。リヒターがエドに身分証を要求した時に、尻馬に乗って「出せよ」と顎をしゃくる顔の、意地悪そうに得意げにきらめいてる目つきとか。マリーがギュンターの元に行くとエドに告げる様子を盗み聞きしている時も、へえぇ、と言うように目を見開いて、揶揄するような冷笑的な顔をしていた。

でも、その分、最後の場面。
モラン巡査に再び庭に連れてこられたジャンは、全然違う顔をしていた。反省と言うのか、後悔と言うのか。何と言うか、耳としっぽの垂れた犬みたいな雰囲気で(苦笑)。
ひとりになって、多分初めて、色々なことを考えたんだろうなあ、と。
ここ、ジャンを連れてくるモランさんがまた何とも良くて。さあ来なさい、と言うように促す表情が親身な感じで、ジャンの心境に何らかの変化があったとしてもむべなるかなと思うのですよ。
しかし、直後ドイツ軍が現れて急転直下の状況でそれどころではなくなってしまう訳ですが。

この後のドイツ軍登場からラ・マルセイエーズの場面で、以前書いたことの訂正と言うか追記と言うか。
初見時に「ポーラが手を差し伸べるけれどジャンはそれを見て頭を抱えて崩れ落ちる」と記憶していたのですが、次に見たとき以降はずっと「ジャンが歌っているポーラを見て頭を抱えて崩れ、そのジャンにポーラが気づく」でした。変わったのか私の記憶が間違っていたのか、たぶん後者だけど何故そんな記憶違いをしたのか自分で気になる(苦笑)。
あと、リヒターがジャンを殴るときに、前方席だと「この役立たずが!」とか言ってるのが聞こえて、本気で役立てるつもりならみんなが見ている前で密告者に指名しちゃだめじゃん、と思いました(笑)。

そのラ・マルセイエーズの場面、青年館で最後の土日見て、見る毎にみんなの熱気や入り込み方が増していて、その分その中に入れないジャンの孤独や疎外感も半端なくなっていったのですが、最後、月曜日の千秋楽。
歌うみんなを見る顔が、べそかき顔と言うかほとんど泣き顔になってた。
いつもはリヒターに気づいてはっとする表情になるのだけれど、この日はそれすら気づかずに、若しくは気づいても、呆然としたままだった、ように見えた。

いや本当、私の眼が節穴で何度も見なければ気付かないことが多いという問題はあると思いますが、でもしーらんの芝居も変わっていったんだと思います。
回を重ねる毎に、どんどんジャンになっていった、ジャンとして生きていたのだと。『リラ壁』はフィナーレがあってそこで色々大変だったり深刻だったりする役を演じていた人たちがニコニコ発散しているので観客としても救われる部分があったりするのですが、千秋楽ではフィナーレでも時々笑顔になり切れていなかった、よね? いやそれは千秋楽の感慨故かもしれないけれども。
(ちなみにこのフィナーレ最初のべにあずるりトリオが全くと言っていいほど合っていない、ばらっばらにやっているのが腹がよじれるほど大好きです!三人とも意識は120%客席で隣見てないだろ!そういうの全肯定!)

ジャンのその後についてはお茶会で「よく聞かれるんですけど、それは皆様で想像してください。と言うか私も小原先生に聞きたいです」という本人コメントがありました。そういう想像は得意というか趣味ですと言う訳で倉庫にSSを放りこんできました(笑)。有りうる可能性のひとつとして。
や、真面目な話、人生やり直して、どこかで元気に、幸せでいてくれたらいいな、とぼんやりと思っているのです。彼に対して。

毬乃ゆいちゃん演じるシモーヌ(大家のおかみさん)が、密告者を引き受けたジャンに「本気じゃないんだろ!」と言うのが、好きと言うのも変な表現ですが、好きでした。ジャンはその手を乱暴に振り払ってしまうのだけれど。彼のことを気にかけてくれた人もちゃんといたはずなのだよね。


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2010/06/07 23:56 | Comments(0) | TrackBack() | 宝塚・星

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